2010年9月14日火曜日

智恵子抄

にもなく、文学の話です。

写真は、詩人・彫刻家である高村光太郎の妻「智恵子」の生家の写真です。




東北は福島県二本松の安達太良山(あだたらやま)のふもとにあります。
すぐ近くに岳温泉という有名な温泉街があります。高村光太郎といえば詩『智恵子抄』があまりにも有名ですが、この智恵子の生家と記念館には、光太郎の智恵子に対する愛がぎっしり詰まっています。



『智恵子抄』は「いやなんですあなたのいつてしまふのが・・・・・」ではじまる有名な詩ですが、中でも『レモン哀歌』を私は鮮明に記憶しています。

10代に読んだのですがなぜか鮮明に記憶しています。

                光太郎が愛したベートーベン当時のままの蓄音機

高村光太郎の書   

  

「レモン哀歌」は狂った智恵子の人生最後の場面を詠った詩ですが、

『そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ

トパアズいろの香気が立つ

その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
・・・・・・
智恵子はもとの智恵子となり・・・・・


「トパーズ色の香気」、後にトパーズが宝石であることを知った。

たしかにみずみずしいレモン色をしている。

しばらく智恵子の生家の縁側に腰を下ろしていると、少年期の私の記憶がよみがえり、瞬間的に哀愁の世界が私を包んだ。

私自身、レモンを手に取るとレモンをかじる癖がある。光太郎の「レモン哀歌」が関係しているのかもしれない。